千里山会創立にあたって、一回生の何方かからお言葉をいただけたらと探しておりましたが、やっとー人昨年八十歳になられた泉佐野のお医者様の奥様で、ご主人様も現役でお仕事をなさっておられ、ご本人もお元気で受付や薬局を手伝っておられる《小川(木下)澄子様》がいらっしゃいました。電話でのお尋ねに快くお応えいただけました。
　『私は噴水を斜めにちょっと右に上がったところに住んでおりましたので、関大にあった分教場までー年生の足でとても遠く感じました。学校はニクラスだったように思います。複式の男女共学と言うんでしょうね。私は低学年で岡山へ転校しましたので卒業しておりませんの。憶えてますのは、学芸会で「ジョスランの子守歌」を唄ったことと、学校の帰りにれんげ草のお花摘みをしたことぐらいかしら、同級生も分教場の生徒で偶々卒業の年の前に千里小学校から独立できたから、転校生なのにー回生だなんて幸運ですね。あれからもう七十数年になるんですか・・・。
　女学校三年生の時に再び千里山に住む幸運にめぐまれまして、女学校を卒業した翌年の昭和１１年に千里山から今のところへお嫁にまいりました。あの年は東京にニ・二・六事件があって吃驚したり、ベルリン・オリンピックではしゃいだり、賑やかな年でした。
　東京に千里山会ができたなんて夢みたいですわね。どうぞ末永くご発展なさってくださいませ。
　大阪の地からお祈りいたしております。』