我々千里第二小学校９期生は、昭和７年４月に入学し、昭和１３年３月に卒業しました。１０年ほど前大阪に出向いたおり、何気なく母校に足を運んでみました。校舎のほとんどは鉄筋コンクリートに変わっていましたが、向かって左側の木造校舎だけはかろうじて残っていました。「自然の温もりが伝わる木造校舎が次々と消えて行くのはとても寂しい」その時お目にかかった先生のこの言葉は今も耳に残っています。想い出が一杯つまったこの木造校舎を何とか保存する手だてはないものでしょうか。
　さて、千里第二小学校では数々の想い出と共に交友が芽生えました。今も時折会って近況報告をし合っている東維明君は小学校の一年後輩です。卒業後小生は北野中学へ、一方彼は浪速商業学校に進学して行きました。当時は、近郷近在で彼を知らない人かいないほどのガキ大将でしたが、その後海軍予科練から戻って来るとすっかり人か変わり、穏和な性格になっていました。海軍とは人の性格まで変えてしまうほど影響力があるのかと心底驚きました。彼は長年滋賀県内で商売を営み今では地元で絶大な信頼を得ているようです。
　９期生の中には卒業後消息か全く判らない方がおられます。特に韓国から来ていた李命福君、徐明石君のことが忘れられません。残念ながら李君は昭和２０年に既に亡くなられたようですが、徐君の消息をご存知の方かおられましたら是非お教え下さい。
　小学校を卒業して早半世紀が経過しましたが、あの頃の思い出は年々鮮やかに蘇ってくるようです。

(日本マクドナルド社長)