私達１７回生は千里山とグレース幼稚園出身者がほとんどで私が通園みちに引越した頃、美川英二君を先頭に一団体、千里山を駆け回る集団となり各家から自転車を引出し交替で千里山中を駆け回り、山に入ればすぐに砂合戦を始めて（私たちが始めた）、ミカン畑、竹薮、桃山、笹原を我がものに住宅の町並みは全て知り尽くしておりました。人を受け入れるキャパシテイーが寛く、また暖かく、人への奉仕の仕事を機嫌良く進め、戦中時、近隣７人で新聞を各家に朝早く届けた経験が有ります。終戦後の１０月まで続きました。お陰さまで、先輩、後輩の方々と面識が多く、とても可愛がって頂きました。
　千里第二小学校を昭和２１年卒業した私達は旧姓中学の最後で高等小学校も有りました。それぞれに目的をもって進学したものですが、世相の悪戯にばらばらとなり同窓会をやろうと相談した時点が、かなり時を過ぎておりました。小学校時に修学旅行も出来なかった有様で、５０歳過ぎて有志約３０名が先生と一緒に修学旅行した経緯があります。
　日本の激動する時代の戦士は国内海外を問わずに飛び出して言葉の不自由さを度胸一つで溢れる熱意を語り、夢を取り入れる働き掛けに努めた日々があった事を美川君を囲んで語り合った時間を持てたことがいまも楽しく頭をかすめています。
　美川英二君の寄稿文によると、慶応高校から慶応大学法学部へ進まれ、日本一のラグビー選手として活躍され、横河電機（株）に入社後も海外試合に出場されていました。私の勤務していた会社にもラガーマンがおり二度だけ東京代表で花園に出場する機会が有りました。
　彼は３４歳で測定器、３６歳で人事、４０歳人事部長と現在の横河電機の人事制度の根底となる基本インフラは他社が未導入の進んだ制度だった由、１９７２、全週休二日制、１９７５、定年退職者に第二の会社人生を提供する横河事業所設立「現横河エルダ−」、１９７８定年六十歳へ延長実施、１９７８タイムレコーダーの完全廃止＝「管理側に社員を少しでも疑う気持があったら、どんなに良い人事制度も立ち枯れてしまうものだ。信頼が持つ土壌が絶対に不可欠だ。」横河電気の社員は家族同様と「横河ファミリー」の主張を全面に合意出来た。これは会社と社員が一体に形成した財産であり、精神的基盤となるものと信じている。どうすれば人は能力を発揮できるか徹底的に学んだ経験は大きな財産と成った。と熟解されています。４４歳時ブラジル現地法人の会長１０ケ月、営業副本部長、１９８６専務に就任。１９９１副社長に就任。１９９３平成５年に社長就任５９歳。
　経営環境は不況のどん底でありました。
　この間に１９７３第一次石油ショック、１９７９第二次石油ショック、１９８５プラザ合意の円高、１９８８バブル崩壊、市場が萎縮している中で「横河ファミリー」を信じてコストダウンによる利益捻出作戦＝「新幹線発想法」、「ゼロ発想法」を打ち出し一丸の結束をされました。
　「新幹線発想法」は米国ＧＥのウエルチ会長の目に留まり，ＧＥグループのコストダウン活動の基本的考え方として採用され幹部学校のテキストにまで載っているそうです。１１月２１日テレビ朝日１０ｃｈサンデ−プロジェクト田原総一郎の番組で「リストラ時代に山一証券の中年層２０名を採用」を記事にされてました。
　私達千二一会の五十周年の集まりに際し、心身惜しまぬ力添えを頂き、前年より「千里山あるこう会」「東京に集まろう会」と先頭切って力強い支援の下参加者は益々、おおきな環造りが出来たと昨日の出来事のようにと思えます。
　最後のお別れの献花のあと、横河正三名誉会長の献杯がありまして「バカヤロー、老人を差し置いて先に逝きやがって」と憤慨して申されました。
　多数弔電の中、同期生からの西山明代さん他一通が紹介されました。
　奥様のお礼の言葉に「英二は戦士の如く働いたと思います。最後だけは私の我侭をお願いして家族だけで過ごすことが許されました」と。
　立派な社葬のなか、一番好きな曲をアンサンブルで流され、石原裕次郎の「わが人生に悔いなし」が聞こえて参りました。
　いかにも早過ぎた人生を見送り、胸が悔しさで収まらない有様でした。　　　　　　　　　　　　合　掌 　　 　　 (１７回生　学年幹事)