去る１９９９年１２月２５日に６３歳の若さで天に召されました東敦子先生。

　２０００年１月１０日聖イグナチオ教会での告別式に私も参列させて頂き、最後のお別れのときを共にさせて頂きました。御夫君二田原英二様、お嬢様二田原阿里沙様による五年間におよぶ闘病生活の描写、エピダウロスの古代ギリシャ劇場での最後のオペラ詠唱の模様、病床で最後に書かれた「愛、Ａｍｏｒｅ、東敦子」の色紙など、ひとつひとつのシーンが悲しくも、この世でもっとも美しく尊い生と死の有様として現出され、参会者一同は深い深い感動のなかに包み込まれました。
　東敦子先生は、私達「習志野第九演奏会」の第二回、第三回、第四回、第十五回において、ソプラノソリストとして演奏会のステージに立って頂きました。世界のプリマドンナの輝かしい声に参会者一同心から感激したものです。
　一方二田原さんは私にとり福岡県久留米市の中学明善校、明善高校の二年先輩の音楽仲間として、中学一年の折りに合唱部（そこには中村八大さんもおられた）に入部以来ずっと親しくして頂いた方なのです。
　ところが昭和５４年「習志野第九」第二回演奏会後のレセプションの席に、東敦子先生のご夫君として現れたのが、何と二田原さんではありませんか、これには吃驚しました。以後も東先生の来られるところ必ず二田原さんは現れエスコートされてました。
　奥様がグレース幼稚園、千里第二小学校の私の後輩に当たることを知ったのは随分後のことです。初めて出席した三年前の千里山会同窓会がＡＣＢで行われた時に、会員の方から教えられて驚きました。
　そのすぐあと、ご夫妻に千里山会の件でお電話させて頂いたときは、今にして思えば、東先生はすでにご病気と敢然と格闘中であられたのですね。千里山のあれこれをお話しそのうち同窓会にいつかはとご返事頂いたのでしたが、それは叶わぬ願いとなりました。

　ところで、初期の「習志野第九」に絶大なご支援をいただいた東敦子先生、昨年２２回の第九演奏会には、ドイツ大使ケストナー博士のご来場を頂くほどに私共は成長いたしました。
　八十年昔、第一次世界大戦時、習志野にドイツ兵の俘虜収容所がありましたが、兵達を厚遇した習志野町民に対し、今もドイツから感謝されていて以後固い結びつきが生まれました。市が２０００年の初頭を飾る行事としてこれらの展示会に用意している写真等を、コンサート会場のロビーに先出しして花を添えてくれました。
　第九演奏会は大使ご来場に相応しい良いものと評価される演奏となりました。
　曽って東先生が「習志野第九」の揺籃時代から賜りましたお力添え、お励ましによるところがどんなに大きかったか深い感謝の念を覚える次第です。

　東敦子先生、天国にて御霊安かれと心からお祈り申しあげます。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(部会担当　世話人)