１１月６日の千里山会も間近の１０月末近く、ふと同じ学年の方へのお誘いを試みました。
　世界のプリマドンナ、輝ける東敦子さんもその中の一人です。
　思い返すと一年生の折り、お友達のつくれない私に、数少ない、家の行き来をしてくださったお一人です。
　でも流れた歳月は長すぎます。
　電話の前で躊躇した私は、思い切ってダイアルしました。電話を取られたご主人に替わって、思ったより低い声が流れてきました。
『丁度、私、退院してきたばかりなのよ』
「退院できてよかったですね。どうなさったの？」
『私・・・ガンなの』
「(絶句)」
　その気丈さは、世界の大舞台でのそれににているのでしょうか。
　ご本人からの思いがけぬ達観した言葉に、なんと答えたらよいのか判らない私は、
「どこの？」
『それが、骨ガンなの』
「でも医学が発達している今だから。予後はよろしいんでしょ」
『それが痛くて仕方がないのよ 』
　それを少しも辛そうに感じさせないその言葉に、私はなんと応えたのか全く覚えていません。
『千里山会の皆様によろしくね』
「今度お目にかかれるのを楽しみにしています。お大事にネ」
　もう少し落ち着かれてから、千里山会での楽しい情報を思い切ってお伝えしに行こう・・・と心に決めながら電話を置きました。
　テレビのニュースで訃報が伝えられたのは、それから間もない１２月２５日のクリスマスの日のことでした。
　心からご冥福をお祈りします。